先日「世界ふしぎ発見でデンマークやってたよー」と何人かから言われたので、見れないかなーと思ったらYoutubeに転がっていたので見てみました。
で、それを踏まえて3ヶ月たった上でのデンマークの印象だったりとかを書いてみたいと思います。なので番組を見た上で、の方が読みやすいかも。
物価
高福祉の国にはありがちですが、物価はかなり高いです。ただ番組内では0.75Lのミネラルウォーターが400円と言っていましたが、まあそういうものもある、ってだけでスーパーに行けば日本のトップバリューとかと同じ位の価格で買えますね。
この国にはセブンイレブンもありますが、デンマークのセブンイレブンでは飲み物が500mlペットボトルが400円くらいするので、スーパーが閉まっている時間帯以外はあまりコンビニエンスではないかも。買い物はスーパーでするのがベストです。
食べ物
デンマーク料理といえばスモーブロー(直訳するとバターブレッド)というライ麦パンの上にいろいろな食材を乗せたオープンサンドウィッチが有名です。これ以外にもいくつか有名なものもありますが、有名なものの大体がクリスマス料理だそう。
番組ではスモーブローの有名店を紹介していましたが、街中にあるビュッフェに行けばだいたいスモーブローが食べれます。あと個人的には学食もおすすめ。リーズナブルな価格でいろんなスモーブローが食べれます。
たとえばここの食堂で一応食べれる
ただまあ、そもそもスモーブロー自体好き嫌い別れるので、普段からこれを食べてる日本人はほとんどいない気がします。逆にデンマーク人は昼間いっつもこれを食べてる人も結構います。
都市計画の観点からの自転車天国、コペンハーゲン
デンマークとくにコペンハーゲンは言わずと知れた自転車大国です。CO2削減のため、と番組では紹介していましたが、それだけが理由ではないんですね。
コペンハーゲンというのは、「都市自体に価値を生み出そう」というコンセプトのもと計画された初めての都市だそうです。
どういうことかというと、都市から「購買」だとか「職場」だとか「食事」だとか、そういった類の付加価値を一切取り払った上で、それでも利用したくなるような都市にしよう、と。
そういった都市にするにはどうすればいいか、といった議論になった時に出てきたひとつの結論が、戦後急激に普及した自動車の排除であり、昔のような(*)自転車都市の復活であったそうです。このときコペンハーゲンでは自動車による事故の多発が問題視されていたそうです
*コペンハーゲンは自動車が普及する前はもともと自転車の街と呼ばれていたそうです。
そういった方針のもと、自動車への税金を上げ、路上の駐車場を潰し自転車専用道にし、ストロイエをはじめとした歩行者専用道を増やしたことによって、今のコペンハーゲンという都市ができていると。
ちなみに都市自体の利用価値をつけるという点では、だれでも利用していい広場だったりとか、どこのお店もテラス席を持っていることも挙げられます。冬のあいだテラス席需要なくね?って思っていたら、どうやらヒーターを使って毛布が渡されるためさほど寒くはないそう。日本人的には中で食べればええやんって思ってしまいますが、、
就業時間
働いているわけではないのであれですが、15時に仕事が終わる、遅くても17時っていうのは全員がそうではないにせよそういう業種が多いのは事実だと思います。
というのも、通勤のラッシュがくるのが15時30分~17時くらいの間。朝だと7時くらいが一番混んでます。
また行政機関等も、17時前に締まるところも結構多いです。なんならコペンハーゲン大学の学生証などを配布している教務課は週2日、それぞれ2時間しか空いていません。
なぜそんなに業務時間が短くても社会が回るのか、というところに関してですが、おそらく日本と同じくらいきっちりやろうとしたらおそらく社会は絶対回ってないです。パンクしています。たとえばレジデンスカード。EU在住であることを証明できる大事なカードですが、いざ届いたら間違いだらけだとか、2週間以内にくるよ、って言われてて1ヶ月半後に届くとか、「その件についてはメールしてください」って言われてメールしても全く返ってこないとか。
また病院についても、医療費無料!!って言われるけどその分診てもらえるのは一部の人で、大したことのない症状の人は安静にしとけって言われるそう。
なのでなぜ社会が回るのか、っていうと日本に比べてだいぶ寛容だからなのかな、って思ってます。
学生の生活費補助
すべての大学生は月10万円ほどの奨学金がもらえます。もちろん貸与ではなく給付型です。というか「日本の奨学金は貸与が多いよ」ってデンマークの子達にいうと「それ奨学金じゃあないじゃん笑」って言われます。そりゃそうだよねー。
高校生も月5万円ほどもらえるそうで。結局これの狙いは「バイトするくらいなら勉強しろ」ってことだそうなのだけれど、この制度は素直に羨ましいです。今は家賃は親に出してもらっていて奨学金ももらっているのでバイトをしなくてもそこそこなら遊べるし、普段は勉強に専念できています。
ただ日本に帰ってきた時にはそうはいかなくて、勉強をしっかりしようとするとバイトの時間が必然的に減ってしまうので、何かしらを犠牲にしないといけない、という。個人的には勉強が嫌いではないのですが、東京の試合に行ったり国際大会に行くお金を作るにはやっぱりバイトをかなりしないといけないので、どうしても両立は厳しいよねぇと。
まあ日本とデンマークだとまず風土が違うのでこの制度はまず無理そうだなって思ったり。
こっちの学生は大学入る前だったり大学の後だったりにギャップイヤーを挟む人が結構多くて、羨ましいなーとも思うんだけれど、気軽にギャップイヤーをはさんで世界一周とかできるのも、こういった金銭的なバックグラウンドがあってこそだよなぁと思う。
ヒュッゲ
この番組のテーマでしたね。番組では居心地の良さみたいな感じだって言っていましたが、多分そんな感じなんだと思います。デンマーク人によると、説明しづらいしほかの言語だと適切な言い換えの言葉がないらしいのだけれど、要するに冬の寒く日が短い時とかにも、部屋で暖炉をつけて、ロウソクともして(*2)、ホットココアを飲みながら本を読んだりセーターを編んだりすればそれで幸せじゃないか、その幸せみたいなのがヒュッゲなんだ、ということらしい。けど自分は学生寮で一人暮らしなので未だそれを感じず。
まあコタツに入ってみかん食べながら麻雀とか、そんな感じなんじゃないでしょうか。
*2デンマークは世界で一番ロウソクを消費する国らしい。たしかにめっちゃ売ってる。
デンマークで売ってるものだけで石狩鍋は作れる!これぞJapansk Hygge
雑貨
デザインの街ってだけあってめーちゃくちゃ雑貨屋さんが多いです。Flying Tiger(こっちでは単にTigerと呼ばれています)やSostrene Greneなどの大型資本のほかに、多くの個人営業の雑貨屋さんが街中にあります。そのなかでもTigerとSostrene Greneはなんでも揃うし安いんでデンマークのダイソーって勝手に呼ばせてもらっています(笑)
相席食堂
そんなFlying Tigerの創設者が作ったという相席食堂。これは初めて聞きました。多分知る人ぞ知る、的な感じなんだと思います。
面白そうなんで、今度行ってみようと思います。観光客が行くには少し不便な場所にあるかな、という気はする。
農業大国・デンマーク
デンマークは言わずと知れた農業大国です。また、オーガニック農業に強いこだわりを持った国でもあります。O-labelというOkologiskと書かれた赤いマークが付いているのがオーガニック食品の証らしいですが、ごく普通のスーパーでもめちゃめちゃよく見ます。
個人的には有機農業だったり有機農法によって作られた作物に対して100%賛成、というわけではないのであまりこのマークを気にせずに商品を買っていますが、オーガニックを気にする人にはいい国かも知れないです。
また番組内では「外で失ったものは内で得ればいい」といった言葉が紹介されていました。これは戦争に負けたあと、広大な土地の大半を失い(*3)、荒廃した国土だけが残り、国民もますます困窮していきそうな状況にて、ハンス・ホルストという作家が発した言葉。ダルガスという軍人がモミを植えていって、試行錯誤しながら少しづつ土地を回復させ、今に至るといった素敵なエピソードがあります。ちなみにこのエピソードはなんと100年前に内村鑑三が日本に伝えているというのだから驚きです。このことについては、番組内でも紹介されていた内村鑑三著『後世への最大遺物 デンマルク国の話』にて詳しく書かれています。自分も読みましたが普通にいい本でした。
幼児教育
幼児教育の例で、森の幼稚園といったものが紹介されていました。森でいろんなことを経験しながら育つため、計算とか文字は分からないけれど、その代わり豊かな心だったり自主性が育つとか。番組ではデンマークのスタンダードだって言っててこれは流石に本当かどうかはわからないですが、デンマーク人の基本的な方針として、「こどもに好きにやらせる」というのはある、ということはこっちでも耳にしました。これに関しても、「ああしなさい、これはしちゃだめ」と頻繁に言われる日本の典型的な教育からすると少し新鮮かも。
ちなみに日本でも「子供が自分の行動に責任をもった上で、外で自由に遊ぶ」といったことをモットーにしたプレーパークといったものが各地に存在します。たまたま自分の家の近くで開催されていたこともあって小学校の頃は毎回遊びに行っていました。今でも手伝ったりしますが、スマホやゲームの普及による子供の外遊び率の減少とは対照的な子供たちの楽しんでる姿が見られてとても気持ちが良いです。
もちろん世田谷以外にもあります。
また、こういったデンマーク式の教育の結果探究心や好奇心が醸成されると思うのですが、そう思うと世界で最も人気であろう玩具、LEGOがデンマーク発なのも頷けます。
またこういった基本的な方針からフォルケホイスコーレ(職業学校)のことにも話を持っていくことは出来ると思うのですが、横道にそれるのでそれはまた今度書こう。
キャッシュレス化
スウェーデンほどドラスティックではないですが、デンマークもキャッシュレス化に向かって徐々に動き始めています。
実際にデンマーク人はほとんどキャッシュを使っていないと思われます。そもそも使う必要がないので。
自分自身もほとんどキャッシュを使っていないのですが、唯一デンマーク発行のカードしか使えない商店と、MobilePayというオンライン決済のアプリしか使えない商店では仕方なくキャッシュを使っています。こういったお店は移民系のやっているスーパーだったり自転車屋が多いです(カレーを作る自分にとっては死活問題!)
まあつまり、裏を返せばですね、デンマーク発行のカード(Dankort)とMobilePayを持っていればキャッシュを持ち歩く必要はまずないです。MobilePayのアカウント開設にはデンマークの銀行口座が必要なので、まとめると、デンマークの銀行口座とクレジットカードがあれば基本的にはキャッシュレスが実現できます。あとはDBAというメルカリみたいなサービスがたまにキャッシュオンリーだったりするくらい。多分DBAがメルカリみたいな決済システムになったら本格的にキャッシュレスになるな、と。
キャッシュレス化、インドや中国も同様だけど、旅行者が使えないお店がでてくるという点では致命的だと思うんだけれど、まあ10年もあれば解決されるのかな。
まとめ
自分の住んでる国がこうやって特集されるってのは結構新鮮だな、と改めて思いました。
3ヶ月ちょい住んでて思うのは、物価は高いし天気はあれだけど治安はとてもいいし街も綺麗だし、すごい良い国です。で、こうやって海の外に出てみると日本は果たして本当に先進国なんだろうかってくらい職業やらLGBTやらへの考え方が違うなって思ったりもします。まあ上を重んじる文化が数百年かけて出来てしまっていて、60近い人たちが未だにトップに立っていてそういった人たちは自分たちが高度成長を支えてきたっていう自負がある以上、昔の考え方のもとに成り立っている社会をいきなり変えるのは難しいのかなーと思ったりもしますが。少しずつ日本も皆が暮らしやすいような世界に変わっていけばいいなと。
ただ、やっぱり外に出ることで日本の良いところもいっぱい見えてきたな、というのもまた事実でして。個人的には極東の地図の一番端にあるような島国に対して興味を持ってくれる外国人がこんなにいるってのがビックリしたし、日本といったら「寿司!侍!アニメ!」といろいろでてくるってのは冷静に考えてすごいことなんじゃないかと。実際日本を離れると日本のあの何気ない風景だったり、何気ない夕焼けがすごい恋しくなったりします。
3ヶ月たって、「留学した人がかえって日本に興味を持つようになった」っていう現象がなんとなくわかるような気がしました。年内ものこりわずかですが、まだまだいろいろと吸収していこうと思います。