備忘録

書きたいことや思ったことの殴り書き。

長かったイスラエルの入国審査

これは完全に個人的な体験だし、おそらく同様の経験をすることになる人はほとんどいないとは思う。けど、イスラエルという国の出入国がかなり厳重に管理されてるという意味では良い例だな、と思うので書いてみる。

ここまでのあらすじ

まず1/6にブダペストから乗る予定だった飛行機がキャンセル、ブダペストからアテネまでの陸路縦断を決断し、1/6にベオグラードまでたどり着くがイスラエル行きを諦めきれず(正確には移動ばかりの縦断が想像以上に退屈で辛かった)、1/7の午前1時ごろにベオグラード→テルアビブのイズレール航空の直行便をTripstaを通して予約。eチケットの発行も午前2時ごろに確認して、11時のフライトに備えて就寝。
以下はその日のベオグラードニコラ・テスラ空港からベン・グリオン空港でのイスラエル入国までのお話。

空港着、そしてチェックインへ

航空券を当日に取ってるということ、オンラインチェックインができないという懸念事項があったので、念には念をで2時間半前の8:30に空港着。
空港に着くとチェックインカウンターのところには数人の係員が荷物をチェックしたり、カウンターの手前で乗客に質問したりと、見慣れない光景が繰り広げられていた。前日のWizzではこんなことはなかったので、おそらくイズレールならではなのかもしれない。
とりあえず列に並んで自分の番。パスポートを見せろと言われて見せると職員が名簿のようなものをチェック。どうやら職員の名簿には自分の名前がないようだけれど、これは当日予約なので想定内。慌ててeチケットを見せると、カウンター手前に案内された。
そしてそこからは職員との一対一の質問。「どこから来たの?」「何日滞在するの?」「どこに滞在するの?」などから始まり、「家族と最後にあったのはいつ?」「何をどこで勉強してるの?」「友達にアラブ人はいる?」「モロッコに行った時に一緒にいた友達の名前は?」など15分ほど質問されたと思う。質問責めに遭うらしい、という話は聞いていたのでここも特に驚きはなかった。「そこまで聞く?」とは思ったけど。
で、一通りの質問が終わった後、セキュリティマネージャー(一番偉い人)が来て、事情を説明。どうやらカバンの中身を調べる必要があること、カバンはどういうものであれ預けなければならないことを説明された。そして1時間後にまたカウンターに来てくれとのこと。

魔の1時間待機

昨日とは事情が違うとは言えど、「搭乗拒否」の4文字が脳裏をよぎり、気が気ではなかった。なんらかの理由で乗れないとなればベオグラードへ戻りそこからプリシュティナ行きのバスに乗らなければならないのだ。この1時間に朝食を取ったが、クロワッサン一個でさえ喉元をなかなか通らなかった。
そして1時間後。カウンターにはほとんど人がおらず、職員は諸々の片付けを始めていた。

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そしてそこには自分のバッグがない。「これはもしかして無事預け荷物に運ばれたのでは?」と思い少し期待が膨らむと同時に、出発1時間前の10時を過ぎても「Still wait here」と言われてなかなか呼ばれなかった。そして10:10頃に職員に呼ばれ、「身体チェックをする必要があるから、別室に来てくれ」と言われる。

別室で身体検査

そして別室では職員2人、自分の計3人となった。そこでまた同じような質問。正直ここら辺では割と精神的に疲弊していて、とにかく解放してくれの一心だった。詰問されて無実なのに自白してしまう、という冤罪事件が発生するのもなんとなくわかる気がした。とはいえ気を確かに持ってこれらの検査をスムーズに行わなければ、たとえ異常がなくても乗り遅れてしまう。
まずは上の服を脱いで、服自体と体を探知機のようなものでチェック。次にズボンをチェック、そしてズボンを下ろしてパンツまでチェック。ここまでの身体検査は流石に初めてである。まあ当然何もないので身体検査は無事クリア。
そのあと、「靴もチェックする必要がある」と言われて靴を持っていかれ、さらに「財布もバッグに入れてくれ」と言われ財布もカバンの中へ。手荷物は携帯とクレジットカード、1000ディナールのみとなった。
疲れが顔に出ていたのを気遣ってくれたのか、待ち時間に職員が水をくれたり、話し相手になってくれたりして少し楽になったのと、「疑いはほとんど晴れてるな」と感じつつあった。そこで「こんなにチェックするのって普通なの?」と職員に聞いてみたら、「当日予約だし、アジア人だし、1年でイスラム教国家に3回入国してるし、不審な点がたくさんあったからこうせざるを得なかったんだよ」と。そして話し相手の名札を見ると「イスラエル入国管理局」と書いてあった。乗客の全員が全員厳しいチェックを受けるというわけではないが、少しでも不審な客は徹底的にチェックするようで、要は自分は不審人物認定されたということであった。

出発15分前、ついに搭乗券をゲット。しかし…

まあでもこの辺りでは「もう8割くらいの確率で乗れるだろう」と思っていたので、搭乗拒否については考えないようにした。そして10:45 、ついにほかの職員が靴と航空券を持って戻って来た。ついに乗れるんだ、と確信した。しかし問題もあったようで、その人が言うには「靴に何かしらの問題があった。なので預ける必要がある。他に何か履物をもってるか?」と。当然答えはノー。

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誇張でもなんでもなくこの状態で飛行機に乗って入国まで行った。
そういうと、「上の階に行って飛行機の中で履けるスリッパを買いに行こう」と職員が提案。まあ靴下で乗るのも憚られたので職員と2人でダッシュで出国審査へ。時間もなければ荷物もないので30秒ほどで出国。そして免税店で片っ端からスリッパを探すもののどこにも売ってない。スリッパ探して乗り遅れるくらいなら靴下で乗った方がまだマシなので「もう探さなくていいから、ゲートに行こう」と提案するも「いや、ダメだ、絶対にスリッパがあるはず。あ、あそこにあるエレガントなブーツとかどう?149ユーロ」と言ってくる。この切羽詰まった状況でその冗談飛ばすってどうなんだ。
結局、「新しく靴下買えばいいのでは?」ということになってレッドスターの靴下を買った。これなら土産にもなる。そしてゲートへダッシュで向かう。

ついに搭乗

しかしここでもまた問題があって、「ごめん、バッグの中に入れてって言ったモバイルバッテリーが規約で預け荷物に入れられなかった。君の住所を教えて、そこに送るから」と。消耗しきったスマホを持つ現代人にとってモバイルバッテリーは必需品だ。これがないのはかなりの痛手だが、まあ乗れるだけありがたいと思って搭乗。結局機内でモバイルバッテリーが免税で売られていたので、少々高いが購入することにした。
3時間ほどで無事にテルアビブに到着。飛行機から降りようとすると、CAの方が「待って!これ!」と自分のモバイルバッテリーが。機内で支払った39ドルを返してくれという気持ちにもなったが、まあ面倒ごとは減ったのでよしとして靴下、モバイルバッテリー2個だけをもっていざ入国。入国審査では「2日間しか滞在しないよ」というと審査官に呆れた顔をされながら出国カードを渡され、あっけないくらい簡単に入国できてしまった。
かなり心労は大きかったけれど、これでひとまずイスラエルに入国が出来たのだ。48時間足らずの滞在だけれど、ここからまたワクワクした気持ちで冒険を続けられる、と心から思ったのだった。

 

後日談

イズレール航空/イスラエアの口コミを前日に調べてたら日本語の情報が全く出てこなかったのでおそらく日本人の利用はかなり珍しいんではないかと。空港スタッフの利用してるものがエルアルのものだったり、そもそもチャーター機で定期便ではないことだったりを考えるとそうそう使うこともなさそう。当日予約とか変なことしなければこれだけ厳重にチェックされることはあまりないそうです。