備忘録

書きたいことや思ったことの殴り書き。

幸せについてちゃんと考えてみる

 

幸福度ランキングで毎年上位に名を連ねる国に住んでみると、幸せということについて考える機会もよくあります。デンマークがなぜ幸福度上位なのか?を考えるのはなんなら宿命のようなもの。ということで結構長めに、自分の見た世界をもとにこの問について考えていこうと思います。

ちなみに今年のデンマークは幸福度第3位でした。日本は54位。

 

幸福度とは何によって定義されるのか

デンマークは幸福度が高い」とはよく言われますが、そもそも幸福とはなにによって決定されているのでしょうか?

ここでいう幸福度は、国連の毎年の調査に基づいています。ちょうど2018年版が出たので書いておこうと思います。

https://s3.amazonaws.com/happiness-report/2018/WHR_web.pdf

今年も同様に、国あたり1000人に幸福度を10段階で評価してもらい、その平均値をとってランキングを決めるといったもの。調査自体は、その幸福度を理由づけるための様々なファクター(ひとりあたりGDP、社会的支援、政治腐敗などなど)についても分析を行っていますが、 これはあくまで説明変数なので、ランキングを左右するものではないといった感じ。

どうでもいいんですけどジェンダーギャップのランキングで上位(=格差が少ない)にいたブルンジ、幸福度ランキングは最下位ってどんな歪んだ社会構造してるんだ、、

 

幸せを感じる瞬間

幸せというのは絶対的なものではなくて相対的なものである、という意見に賛同するとして、これを軸に考えてみようと思います。
どういうことかというと、例えば些細な出来事でも大きな幸せを感じることもあれば、同じ出来事でも当たり前のこととして幸せを感じずに出来事を消化してしまう、というような感じです。多分多くの人は無意識のうちに幸せをこのように捉えていると思います。

デンマークにおける幸せ

さて、その上で、まずデンマークについて。
デンマーク、といえば社会福祉の圧倒的な充実度がまず挙げられます。医療費無料、教育費無料、大学生は返済不要の奨学金をもらうことができる、といったように。
僕みたいな1年間の留学生であっても、医療費無料といった恩恵は受けることができます。
もちろんこれは高福祉高負担であるからこそ成り立っているシステムであって、それゆえにデンマークは税金が高く、物価ももちろん高いです(その分給料も日本の2倍くらいですが)
その一方で、日本人からするとちょっとな、って思うところも結構あったりします。とくに文化方面で。
例えば観光。コペンハーゲンだとニューハウンだったり人魚姫、ユトランドの方に行けばレゴランドがありますが正直言ってそれくらい。
自然観光地は夏はいいものの冬は葉も落ちていてそんなでもない。ウィンターアクティビティをするには降雪量、標高が足りなさすぎる。
食に関してもそう。元来厳しい土地・気候だったため食はとにかく生きていくためのもの。短い収穫期間で栽培できる栽培品種の事を考えると、食が発展しなかったのはまあ仕方ないかな、と。そのためデンマーク料理もそんなに美味しくないし、シンプルな料理が多め。外食もわざわざ外に行って食べるほどじゃあないなってとこが多いです。まあもちろんNOMAみたいなレストランがあることもまた事実ですが、あれは一般的なものではないのでちょっと置いておくとして。
気候もそう。北欧全般的にそうなんでしょうけど、晴れが特に少ない。夏~秋は雨が多いし、冬は日がとにかく短い。年中風も強いし。

 

でも、そういった条件に関してはデンマーク人にとっては生まれつきのもの。不満は少なからずあるでしょうけれど、こっちに留学できている日本人が感じているほど大きなマイナスにはならないのかな、といった気がします。またそういった国で生活するとなったとき、気候や外の娯楽とは無関係の部分、つまり家の中や精神的な面に対して幸せを追求するようになったのかな、といったふうに考えています。

そしてここでつながってくるのがデンマークでの典型的な考え方である「ヒュッゲ」。日本でも徐々に有名になりつつありますが、まあなんというか、家族団らん、リラックスできるムードみたいなのを指します。

そしてこういったヒュッゲを楽しむうえで重要になってくるのが社会福祉の充実だと思います。

週休2日、平日は8時間勤務、朝早くから働いて15時~16時には退社、というのがこの国におけるモデルケースですし、これなら家族と過ごせる時間はかなり多いです。

また高等教育まで教育費は無料、大学生全員に返済不要の奨学金付与など、子供を持つことに対する負担も日本と比べるとかなり小さいです。

 

 

つまり、デンマークでは家族での時間を大切にすることによって得られるそこそこの幸せを手に入れるには極めて適した環境であって、それゆえに幸福度が高いとされているのかな、と思います。

 

日本の幸せについて

一方で日本。

デンマークに来てから一番感じる日本のすごいところ、いいところは文化的側面の豊かさです。アニメなどのカルチャーしかり、食の豊かさしかり、土地の持つ色の豊かさしかり。居酒屋やカラオケ、ラウンドワンなどのアミューズメント施設もめちゃくちゃあるし。

以上を踏まえると日本には趣味や好きなもの、熱中できるものが外の世界にできやすい土壌が形成されていると思います。

さて、そこでデンマークのような幸せを追求したところで果たして人々は幸せになるのでしょうか?といったことを現在疑問に思っています。日本において、外を見ればたくさんのレジャー施設やホビー、そして豊かな外食があるわけですが、そういったものに対してはあまり関心を持たずに家の中でのんびりと暮らすことに幸せを見いだせる人が一体どれくらいいるのだろう、と。デンマークと同じ生活を志すのであればあくせく働かなくとも実現できるのではないか、と思ってはいますが、はたしてその生活で幸せを感じれるのだろうか、というと個人的には絶対にNOです。外の幸せを享受している人がマジョリティを占める以上絶対羨ましくなる。

でも趣味や好きなものを存分に楽しむ、という幸せの追求をするにはお金が必要です。何かひとつの趣味や嗜好であればなんとかなっても、全部ってなると十分なお金が必要。となると働くしかない。定時ピッタリ退社だとなにかを諦めざるを得ない。みたいな感じで幸福度が下がってるのかな、と。かりに絶対値で幸せをはかったらまた違った結果になるんじゃないかなーって思います。

 

んじゃあどういうのが理想なのか、というとデンマークのヒュッゲにあたるようなモデルケースが日本だとなにになるのかがわからないので何とも言えないんですが、

自分の周り、とくにサッカー関係の知り合いは幸せそうなひとがいっぱいいるな、と思ってて、これは割と幸せのためのヒントだよなーって思います。

というのも、いろんな仕事をしてる人がいますが、国内外問わずほぼ全ての試合で見かけるような人は基本的にサッカーがあって、その次に仕事。だからか転職してる人もかなり見かける気がするし、やりたいことがあって、それを実現させるために仕事がある、という考えは幸せを得るためのキーになるかなって思っています。多分だけどサッカースタジアムで幸福度統計取ったら絶対ランキング上がる。

まあまだ社会に出たこともない人間が思っているだけなのでここらへんは社会に出てみたら考えが変わるかもしれませんが、、

とにかく、自分は社会構造を変えるほどの影響力も能力もないので、まずは自分自身が幸せになって、究極的には「あーこういう生き方もあるんだー」って思ってもらえるようなモデルケースを構築していけたらなぁって思います。

 

ちなみに余談ではあるのですが、デンマーク社会福祉とかはちょっと雲行きが怪しいなってかんじでして

コペンハーゲンのノアブロ地域の話なんでしょうけど、移民が増えたことによって高負担高福祉のシステムはだいぶ厳しくなってきて、それゆえに移民に対してのみいろいろな制約を課すプランを立てていたりします。移民がデンマークに移住する際は、貴金属など身につけているものの総額の制限もありますし、移民に対しては結構厳しめです。

移民を受け入れるとデンマークのシステムが成り立たなくなってしまうからなんだろうな、というのはわかりますが、それにしても、、といった感じです。

コペンハーゲンの語学学校でデンマーク語が無料で受けられる、というのも徐々に変わってくるそうで。

またこれも有名な話ではありますが、医療費が無料といっても罠があるわけで。無料だーやったーと言って気軽に診てもらえるのかというとむしろその逆で、まずは医者に電話、症状が重くないと判断されれば門前払いを受けます。

bear-25.hatenablog.com

留学同期の友達が詳しく書いていますが、無料だからいいってもんでもないなと思いますね。これ、大病の初期症状とか普通に見逃されそうだし。

 

というわけでデンマークの高負担高福祉モデルはかなり綱渡り的な状態だなと。この国土、国の経済規模だからこそギリギリ実現できているこの社会ははたして今後移民問題などとうまく向き合いながら持続できるのか。また持続ができなかったとき、この国の幸福はどのようにかわっていくのか?といった点は個人的に注目であったりもします。

 

books.google.dk

友達からおすすめされたこの本。デンマークの人々がなぜ幸せなのか?をイギリス人の視点から分析した本で、留学中に読んでしまいたいなと思っています。興味がある方はこちらもぜひ。