備忘録

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ジャエル契約満了に寄せて

※2019年当時に書かれた文章です。

 

コパアメリカ、日本対ウルグアイが行われたポルト・アレグレ。そこでかつて、いや今もなお熱烈に愛されている青赤戦士がいます。そう、背番号16、ジャエル選手です。彼は2017年からの2年間をポルト・アレグレをホームタウンとする名門・グレミオで過ごし、サポーターから絶大な支持を得ました。
現在怪我で苦しんでいることもあって、プレーよりも「マテ茶」「クルエウポーズ(※)」のイメージが先行している方も多いでしょう。そんなジャエル選手が愛されていた都市で今回ウルグアイ戦が行われるということで、筆者はジャエル選手のフラッグと共に飛び立ったのでした。

ブラジル南部の街、ポルト・アレグレ。日本の対戦相手であるウルグアイからこの街までは、車を6時間も走らせれば着いてしまう。そのため試合当日の街はウルグアイ人でごった返していた。
ウルグアイ戦の行われるのはグレミオのホームスタジアム。タクシーでスタジアムへ向かうと、スタジアムに近づくにつれて明らかに街並みの雰囲気が怪しくなる。スタジアムの周りの治安が良くないのはブラジルではよくある事だが、いざそういう地区へ来るとやはり尻込みする。タクシーの運転手はそんな地区で僕をおろした。降りてすぐそばのところにグレミオのエンブレムがでかでかと描かれた建物があり、そこには多くのグレミオファンが集まっていたので行ってみると、視線はやはりこちらに集まる。ブラジル人もウルグアイ人も物珍しそうにこちらを見てくるが、こちらが伝えたいのは「ジャエル、俺たちのチームで頑張ってるぞ」ということ。すかさずジャエル選手のフラッグを出すとドスの効いた歓声とともにジャエルコールが始まり、「何事か」と思った周りのグレミオファンも集まってきて写真撮影大会が始まった。「日本から来たのか?」「ジャエルは頑張ってるか?」「ジャエルにSNSで写真送っといたぞ」と矢継ぎ早に言われたと思えば「こっちに来い!」とグレミオ一色の建物の中に連れられてまた写真撮影。
グレミオの熱狂的なファンは危ないから気をつけて」といった話もあったけれど、この時点ではすでに人種も言語も関係なく、ジャエル選手という接点のみで信頼が生まれていた。
この「ジャエルフィーバー」はスタジアムに入った後も続き、噂を聞きつけてきたグレミオファンが「ジャエルのフラッグ見せて!」と僕のところへ来たりしていた。
試合後も、帰りの道中でもジャエル選手を通した交流は続いたし、翌日「君のフラッグをネットで見たよ!」などと声をかけられたりもした。ジャエル選手のおかげでポルト・アレグレの滞在は忘れられない思い出になったし僕としてはジャエル選手に感謝してもしきれなかった。それと同時に、これほどまでに愛されていた選手が東京にいるのだから、東京でも同じくらい愛される選手になって欲しいし、できる限りのサポートしたいとも思った。

ポルト・アレグレから東京へと帰っている道中、どうやらジャエル選手が意味深な呟きをツイッターでしていたとの話を聞いて、ツイッターをのぞいてみると「ジャエルはホームシックだ」「監督に怒られた」「東京から移籍するかも」といろんな推測が飛び交っていた。ジャエル選手一色な日々をポルト・アレグレで過ごしていた分、この一報を聞いて気が気じゃなくなった。
帰国当日、都内で用事があったがなかなか手につかない。どうせ手につかないなら小平グラウンドに行って直接ジャエル選手に会って来ようと。ジャエル選手がいるかどうかも、ファンサービスがあるかどうかも不明だったが、賭けだ。行くしかない。
小平グラウンドに着くと、そこにはジャエル選手の姿が確かにあり、かなり楽しそうにしていてホッとした。ジャエル選手と目が合った際に「信じてるよ!」とポルトガル語で言ったら、シャワーなどのアフターケアそっちのけで来てくれて、「本当にありがとう」と言ってがっちり握手。
ジャエル選手の心中は分からないものの自分の思いの丈を必死に伝えようと思って「怪我が早く治ってゴール決めてくれることを信じてるし、東京ファンもグレミオファンと同じくらいあなたのことを応援してる。今は怪我もあって辛いかもしれないし、異国での生活がどれだけ難しいかも分かるけど、いつも応援してるから」と伝えたらまた「本当にありがとう」と。ついでにポルト・アレグレに行って旗持っていったことを伝えると、「おー君かー!!知ってる知ってる!」と言われ、とても嬉しそうにしていた。最後にジャエル選手に「スマホ貸して」と言われたので渡すと、写真を一緒に撮ってくれた。
この数日間は本当にジャエル選手を好きになるには十分過ぎたし、グレミオファンに愛される理由もわかった気がした。そして東京が苦しい時に彼は救世主になってくれる、そう確信した。現在J1優勝争いの主役にいるFC東京には彼のような存在が絶対に必要な瞬間が来るはず。シーズン終了後、グレミオファンと同じくらいの特大の愛が東京ファンから彼に注がれ、FC東京の歴史に彼の名が刻まれて欲しい。