備忘録

書きたいことや思ったことの殴り書き。

ブラチスラバ遠征【後編】

宿を出て、教えてもらったファンが集まるレストランに行くことに。

着くと早速、チームのスタッフであり長いことサポーターをやってる人に会えた。彼とはイスタンブールの遠征の時に知り合って、「アウェイに来る時はいつでも連絡してくれ」と言ってくれたので今回も言葉に甘えてチケットをコペンハーゲンから持ってきてもらった。

殆どの人が初対面だったけど、基本的に向こうはこっちを認識してくれているから結構話しかけてくれる。とはいえ集団で話すときは英語じゃなくてデンマーク語なので何を話しているかは全くわからない。まあだからと言って疎外感を感じるかといえば全くそんなことはなくて、むしろ久しぶりに聞くデンマーク語が心地よい。

f:id:kerompa-tokyo:20210920083742j:image

バス出発の時間になると、ファンを統括している人の一声で中央駅に向かっていく。バスの集合場所に行く前に皆で駅のスーパーへ。個人単位で500mlのビール缶をひと箱とか買っていてやっぱりデンマーク人のビール消費量は異常だわ、って思ったり。ちなみにスタジアムでは持ち込めないので、このビールは1時間半のバスで消費するためだけのもの。

予定より30分ほど遅れてバスが到着し、それに乗り込む。今回コペンハーゲン側に割り当てられたチケット枚数は800枚、クラブとしての販売枚数が80枚、実際にスタジアムに来たのは50人ほど。で、50人のうち40人弱がウィーンからのバスツアーに参加しているという感じだった。

f:id:kerompa-tokyo:20210920083722j:image

バスの中では誰かがチャントを歌いだしたり、馬鹿なことをしたりしていて、これだけいかつい人たちでも中身は全然変わらないんだななんて思ったりしていると徐々にスロバキア国境に近づいていく。

スロバキア国境ではいったん下ろされて、コロナ関連の書類とパスポートをチェックされる。トイレ休憩も兼ねて大体30分ほどの休憩。ACAB(警官くそったれ)とかを頻繁に言っている割には普通に警察と談笑しているのが印象的だった。まあ他国だからってのはあるかな。

国境を超えると東欧特有の無機質な集合団地が増えていく。試合のあるブラチスラバは、オーストリアスロバキア国境のすぐ近くにあるので、国境を越えてから15分もしないくらいでスタジアムについた。この時点で試合開始40分前とか。

スタジアムにつくと、アウェイ専用ゲートに通される。今回はアウェイカードを持っていたので、IDチェックなくチケットとアウェイカードだけのチェックで通れた。むろんそのあとのセキュリティチェックは厳しくて、すべての持ち物と幕をくまなくチェックされる。アウェイ側の席は2回の角に位置していて、四方をバリケードとネットで囲まれている。ネットがあるところで試合を見るのは3回目とかだけれど、ピントをピッチに合わせるのが難しくて試合なんか見れたもんではない。

f:id:kerompa-tokyo:20210920083817j:image

FCコペンハーゲンJapanの幕もしっかり持参。
f:id:kerompa-tokyo:20210920083814j:image

選手が出てくるとチャントを歌いだす。鳴り物はなく、50人だけしかいないがその分一人一人が出せる全力の声を出すのでファン全体の声量自体はそれなりに大きい。声を出して応援するのが去年の3月以来だったので、大声を出したときに喉に負荷がかかるのを実感するけど、その感覚すら懐かしくなる。

試合が始まると同時にコペンハーゲンが試合前にいつも流しているVi elsker FCKというアンセムを歌う。これを歌うとコペンハーゲンに帰ってきたな、という気分になる。FC東京でいうとスタジアムへ行こうみたいな曲、って書いてておもったけどあの曲ってもう一生復活しないのだろうか。あれ好きなんだけどなー

試合のレポートなんて書いたってなにも面白くないので適当に割愛するけど、チームはお世辞にも調子がいいとは言えず、それでも前半点を取ってからはだいぶ調子が戻って久しぶりに勝てるかも、という感じだった。

そしてハーフタイムになり、前回イスタンブールで試合後に一緒にバーにいったサポーターの一人と再会して談笑していると、なにやらコアサポーターのあたりがざわつき始め、開いていないはずのゲートのほうに10~20人が走っていってるのが見えた。リーダー格の人が若手に「あっちに行ってこい」というジェスチャーをし、セキュリティも出動していた。何事かと思って話していたサポーターに聞いてみると、「向こうのフーリガンが押しかけてきていて、侵入されないようにしているはず。野次馬しに行くと危険だからここに留まったほうがいい」と言われたのでそこに留まることにした。ほどなくして、アウェイスタンドに向かって走ってきている覆面の人らが見えた。バリケードで囲まれてて試合見づらいなぁって思ったけど、初めてこの柵のありがたさを身をもって実感した気がする。あとはいかついウルトラスの面々の頼もしさも。

f:id:kerompa-tokyo:20210920083919j:image

後半は早々にPKでスコアを3-1としてからは、スタンドからは楽勝ムードが漂う。それと同時に、徐々に試合よりも試合後にいかに向こうのフーリガンに襲われないように帰るか、という方向にスタンドの空気は変わっていった気がする。

実際リーダー格の人が何人かに声をかけて何やら説明をしていた。デンマーク語だったからわからなかったけど、ウィーン行きのバスに乗らずに自力でブラチスラバの街に出ていく人への注意を話していたのだと思う。そして、自分もリーダー格の人に呼ばれて、試合が終わったらすぐに幕を外すこと、相手のフーリガンに盗まれたり襲われたりしないように外した幕はパンツの中か腹巻にして隠すことを命じられた。実際、だらだらしてたら相手のフーリガンが押し寄せてきて帰宅どころじゃなくなるだろうし、ハーフタイムの感じだとバスとかですら襲撃される可能性があったと思う。襲撃されると一般人にも被害が出る可能性もあったことから、試合が終了して選手が軽く挨拶をするとすぐにすべての幕をしまって速攻コンコースに退散した。素早く集合写真を撮った後は、アウェイ側ゲートに待機しているバスに一目散に乗り込んだ。どこでもいいからとにかく座れ、と言われて席に着き、全員が席に着いたと同時にバスは出発した。試合終了からここまでが大体5分もなかったかのような気がする。

f:id:kerompa-tokyo:20210920083949j:image試合は3-1で完勝。

 

ちなみにこの日に相手チームのウルトラスが「コペンハーゲンのウルトラスは戦わずして逃げた!あいつらはインスタにいるだけの偽物のフーリガンだ」みたいなことをインスタにあげてて、お前らこそインスタでイキってるだけのフーリガンなのでは?ってなってしまった。しかも負けてるし、ダサい。

 

スタジアムから無事脱出して数分経ったあたりで、皆の緊張が解け、バスの中で大合唱。疲れて寝る人、勝った勢いで騒ぐ人、そのへんは日本とさほど変わらないなと感じた。

ウィーンについた後はみな散り散りにいろんなところに向かっていく。仲良くなった人についていってもよかったけど、次の日の早朝の飛行機で帰る予定だったのでそのまま直接ホテルに帰って、シャワーを浴びて荷造りをすることにした。

 

久しぶりのアウェイ。今回は現地に行っている人が少なかったけど、次のPAOKとの試合は大挙していくはず、と言われて、行かない予定だったのに行きたくなってしまう。てかたぶん行ってる気がする。修論とかもあって忙しいけれど、正直何かしらこういうのがあったほうが頑張れるから自分には合ってるのかもしれない。

などと言い聞かせて月末のコペンハーゲン行きのフライトをオランダに着くや否や予約したのでした(完)