備忘録

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スタンドから見たロストフの14秒

ロストフの14秒という、ロシアW杯ベルギー戦でのラストワンプレーの失点にフォーカスしたドキュメンタリーを見て、これは何か書かないと、と思った。

 

あの試合の日は鮮明に覚えている。

 

試合当日、実は胃腸炎と38度の熱に苛まれており、移動車中ではロクにご飯も食べれずひたすら寝込んでいた。

それでもアドレナリンというものはすごいもので、ロストフに着くや否や感じた、「決戦がこれから始まるのか」という高揚感は胃腸炎の辛さを吹き飛ばすものだった。

ロストフの駅からスタジアム行きのシャトルバスに乗り、見知らぬ日本人の人に「ポーランド戦が終わってから急いで飛行機をとって日曜日に出てきたんですよ」といわれるも、こちとら試合見る→1日がかりの電車移動を繰り返して頭がおかしくなりそうだったので、まるで曜日感覚もないしどれくらい凄かったのはいまだにわからない。

高揚感があるにせよ、W杯がスポーツの祭典であるという事実に変わりはない。試合前はロシア人とのテーブルサッカーを楽しんだり、代表戦でしか会わない久しぶりな人との再会を楽しんだり。

リオ五輪から恒例?にしてたダジャレゲーフラを試合前に掲げてたら当局の指示で没収されたり。

そんなこんなで試合のキックオフは間もなく、と言った時間に。

フラッグベアラーが両国のビッグフラッグをもってピッチに入り、広がるあの瞬間は何度見ても鳥肌もの。そしてそこからの国歌。君が代は高揚感がない、みたいなことをたまに聞くけど、海外でこうやって君が代を聞くと武者震いのような感覚に襲われるあたり、やっぱり日本の国歌は君が代だよな、と。これからどう転がっても歴史に残るような大一番が始まるのか、と。

メインスタンド寄りのゴール裏に固まった日本人は数百人ほど。数万人の歓声にかき消されながらも、必死の形相で声援を送るサポーターの思いは1つ、「勝ちたい」だった。

前半は色々あって試合内容は全く覚えていない。多分テレビで見返しても全く思い出せない気がする。

そして後半。始まってすぐ、原口が裏に抜け出してのゴール。1つの席に3人くらい密集していたこともあって吸い込まれた瞬間は見えなかったが、それでも打った瞬間に「決まった」と本能的に感じた。そして狂喜乱舞。あれほどに喜びを爆発させることが今後いつ訪れるのか。そしてその直後の乾のゴールは、打った場所からの軌道の延長線上に自分がいたこともあり、ものすごく綺麗な弾道を鮮明に覚えている。スタンドはお祭り騒ぎ。

この瞬間、「ベスト8」という文字が初めて現実味を帯びてきたし、「ベスト8に進んだらロシアに帰ってくる」と言ってモスクワで別れた仲間たちが脳裏にチラついた。なんにしても「ベスト8に進んだ時の日本代表」を妄想せずにはいられない、そんな浮かれポンチになっていた。

しかしそこから1点を返された瞬間、ロストフの14秒で、選手が述べていたのと同じく「ヤバイな」と思った。そして瞬く間に同点。

 

ここからはもう「お願いだから負けないでくれ」という思いで必死に応援していたことしか記憶にない。そしてロスタイム。あの本田圭佑フリーキックである。

 

理論でいけば狙わないで延長に持ち込むのが正解なのかもしれない。それでも、「90分で決めて欲しい」と思った。2失点した後なかなかチャンスが作れない中での、ラストワンプレーにほど近い時間帯でのあの位置のフリーキック。ここで決めるしかないだろ、と。

放ったフリーキックは枠内を捉えたもののキーパーに弾かれコーナーキック。ここでも同じように、「もうコーナーで決めよう」と自分も思った。選手の疲労とは比べものにならないにせよ、サポーターの疲労も相当だったように思うし、少なくとも自分周りではコーナーキックからのゴールを願う人が多数だったと思う。

理論ではコーナーキックは時間を稼ぐのが正解だったのかもしれない。けれど、選手はロボットじゃあないし、周りの雰囲気もテレビでは伝わらない。理論的には間違っていても感情的には合っている、ということはスタジアムではよく起きうるし、だからこそ戦術に詳しくなくても熱狂できる。

 

その結果としての、あの14秒だった。

試合が終わったあとは茫然と立ち尽くすしかなかった。選手も、サポーターも、全て出し切った上でのベスト16だったように思うし、メンバーは変われど4年後も行くしかないなって思った。ここも選手の発してた「このままじゃ終われないし4年後も目指す」って言ってたのと被っていて面白いな、と。

 

 

 

あの14秒、というかあの試合の90分はサッカーの面白さが全て詰まってるような試合だったと今になって思う。ここでいうサッカーは無論、ピッチ上で行われている動きだけではなく、メンタル、スタジアムの雰囲気など、全部ひっくるめた上でのもの。そんな試合に居合わせたことは、改めて幸せだったなという、年末のロシアW杯の回想。

 

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