備忘録

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アフリカ旅行記-ルワンダ② ルワンダのサッカーを見てきた

ルワンダサッカーリーグを観に来た。なぜルワンダサッカーリーグを観に来たのか、というと、もちろんアフリカのサッカーを観たかったのもあるのだけれど、もっと興味を引く事があった。それは、ルワンダのサッカーリーグはアフリカサッカー協会から「呪術」の使用を禁止されている、ということ。

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4年前にアフリカ呪術の授業を受けていた時にこの動画が紹介されて、もうなんというか自分の知っているサッカーと違いすぎて衝撃を受けまくっていたこともあって、4年前の数分の動画にもかかわらずとても鮮明に覚えていた。

要するに、キーパーがゴールポストにお守りのようなものを置く→ゴールが入らない→相手チームの選手がお守りを盗む→ゴールが入る、という一連の流れが問題になって、呪術の禁止が通達されたらしい。

そんな面白いサッカーリーグ、見に行くしかないじゃん、ということで見に行ってきた。

 

スタジアムに到着すると、鉄製の巨大な扉があってそこには警察が立っている。

試合を見たいがチケットを持っていない旨を説明すると、チケットはモバイル決済のみ、とのことだった。単純にチケットを確認したり印刷する手間を考えるとこっちの方が楽だからなのだろうけど、最先端だ。

モバイル決済をする術は持っていなかったけど、まあ周りの人に頼めばいいだろう、ってことで楽観的に考える。というか多分これチケットを買わなくても問題なく見れてしまうな、と思った。

チケットはバックスタンドとメインの屋根なしの部分が1ドル、メイン屋根付きの端っこは3ドル、VIP席が5ドルか10ドルの2種類ということで、いずれにしても破格だ。とりあえずレギュラーの3ドルの席を、スタッフのひとに頼んで買ってもらい、現金を渡す。

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そうこうしていると鉄の門の前でクラクションを鳴らされる。後ろに警察官が載っているタイプのトラックだ。こっちの警察は結構な重装備をしているので、警察というよりは軍に見えてしまう。持ってる装備が装備なのでビビってしまうが、やはりアジア人が珍しいのか、みんな和やかに声をかけてくれる。

40分前とかなのでスタジアムはガラガラで、そんななかいかつい警察犬が徘徊している、なんともよくわからない雰囲気だ。

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とはいえウォーミングアップは日本や欧州のそれとあまり変わらないし、試合開始に近づくにつれてスタジアム内ではアフロポップが流れて徐々にサッカーの試合っぽい雰囲気が出てくる。

バックスタンドには太鼓とブブゼラを持ち込んで応援している人たちもいる。応援といっても何かを歌うというよりかは、打楽器をひたすらに演奏しているような感じでいかにもアフリカっぽい。

 

選手が入場してくる。フェアプレーフラッグのようなものを持った一団の後ろから審判、そして選手が入場する。結構ちゃんとしてるな、と思いきや、整列する前に選手たちは勝手にウォーミングアップを始めてしまったり、イスラム教の選手はメッカに向かってお祈りしたり、なんというかちゃんとしているのか適当なのか判断に困る。

 

試合開始。場内は満員には程遠く、非常に牧歌的な雰囲気の中試合は行われる。

サッカーのレベルは別にそんなでもないけれど、それでも選手の身体能力の高さはひしひしと感じられ、「そのハイボール足でいけるの!?」とか、「そんなクリアの仕方ある?」とか、見ていて飽きない。そしてゴールパフォーマンスはアクロバティックなバク転。前半は0-1でアウェイチームがリード。

見てて飽きないのとは別に、この日はルワンダ時間で朝4時に起きたこともあってだいぶ眠い。このままメインスタンドで見てたら寝てしまう気がしたので、前半終了した時点でより騒がしいバックスタンドへ向かう。

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バックスタンドに行くと物珍し気に見られるが、でも「こっち来い、一緒に見ようや」といった感じで招いてくれる。太鼓をたたいているすぐそばで試合を見ることにした。

 

陽気なおっちゃんたちが思い思いに応援しているのだけれど、よくよく見ると、みんながみんなホームチームの応援というわけではなく、そこにいるうちの3-4人はアウェイチームを応援していた。それでいてトラブルになるわけでもなく、ただただお互いが自チームを応援している。選手がミスをすればブーイングというかヤジが飛ぶけれど、みんな笑いながら飛ばしているので、ジョークのような感じだ。それを聞いた選手も苦笑いをしている。

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サッカーで「フェアプレー」の名のもと仲良しこよしをやるのはあまり好きじゃないけれど、ルワンダのこの雰囲気は個人的には好きだ。「こうあるべき!」「お互いがリスペクトをもって試合をやらないといけない!」など無理やりにそうしようとしているとかではなく、彼らがただただ自分たちの思うがままにサッカーを楽しんでいる様子が感じ取れるからかな、と思った。

これは10年前くらいの横河武蔵野のホームゲームのバックスタンドを思い出す。バックスタンドには主に小学生などちびっ子が多いのだけれど、彼らは武蔵野を応援することもあればアウェイチームを応援することもあって、それは完全に気まぐれだったりもするのだけれど、それはそれとしてみんなルールや暗黙の了解に縛られずに楽しんでいた。そんなサッカースタジアムはやっぱり居心地が良い。

 

後半40分、ホームチームがPKを獲得し、同点に追いつくとスタジアムの雰囲気はドッと盛り上がる。そしてこの日初めて太鼓に合わせて歌いだす。この歌も応援歌、という感じではないのでかなり特異な感じだけれど、歌って踊ってで、文字通りお祭り騒ぎだ。

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そんなお祭り騒ぎの中、試合は1-1で終了。そして終わったらすぐさまみんな帰路につく。

流れに乗ってスタジアムを出ると、大量のバイクのみならず子供たちが待っていた。子供たちは何かくれというジェスチャーをしてきたので、まあいくら治安がいいキガリといえども多少の格差はあるよな、ということを再確認した。

 

初めてのアフリカサッカーはとても楽しかった。強いて言えばもっと人が入っていればもっと楽しかったかもしれないけれど。そんなことを思いながら、日が沈まないうちにそそくさと宿に向かって帰った。