備忘録

書きたいことや思ったことの殴り書き。

群馬でサッカーを見て思ったこと

夏の三大スポーツ大会。

夏の甲子園、全国都市対抗野球、そしてクラブユース選手権。異論は認めない。

どれもそれぞれ魅力があって面白いのだけれど、クラブユース選手権に関しては、夏のクソ暑い時期に群馬に通い詰めるあの感じも含めて風物詩だと思ってる。

そんなわけで今年も群馬に通い詰めてるわけだが、日月と連続で試合があり、帰るのも面倒くさかったので初めて宿泊することに。そしたらタイミングよくザスパクサツ群馬のホームゲームがあるとのことで、観に行くことにした。関係のないチームの試合なんて国内ではほとんど観ないのに、ましてやJ2、最後に観たのがいつだか思い出せないくらい観ていない。

 

試合30分前にスタジアムに着くが、日曜夜のゲームにしては思ったより盛況している。12年前、まだザスパ草津だった時に来た時よりも全然盛り上がっている気がするのは、当時ラフィーニャにチンチンにやられて記憶が抹消されているからか。

 

メインスタンドのチケットを購入してスタジアムに入る。ピッチ上でスポンサー企業の社長さんがおそらくアドリブで喋っている緩さがなんとも良い。

ゴール裏の真ん中には他のクラブと違わず、拡声器を持った人がいるのだが、「◯◯選手コール行きまっしょう〜」とちょっとチャラついた口調で呼びかけてる感じは中々に新しい。かっこいいかどうかで言ったらカッコはつかないのかもしれないけれど、過激なファンが少ないようなチームにおいてはそういう言い方の方が盛り上がるのかもしれないなとも思う。「応援とは何か」という本質的な議論に立ち返った時に、①選手に対して気持ちを届ける②カッコよさを突き詰めて、雰囲気を作って選手を奮い立たせる、だと思ってる。選手コールを少しでも大きな声で、ゴール裏にいる年配の方にもちびっ子にも声を出してもらおう、と考えるなら、「◯◯選手コール行きましょう」と伝えるのも一つの手。

FC東京U-18OBのサトリョーも個人の応援歌を作ってもらえてた。消えてる時間が多かったけどしっかり1アシスト残すのは偉い。

 

そして草津にルーツを持つこのチームのサポーターエリアには、昔から湯もみ娘がいる。意味がわからないかもしれないけれど、文字通り湯もみ娘が木板を動かしているのだ。これも、カッコいいかどうかは置いておいて、チームのルーツのアイデンティティを端的に表すものとしてとてもアイコニック。ちなみに自分はこの湯もみ娘はめちゃくちゃロックでカッコいいと思う。徳島が阿波踊りの鉦を使ってるのとか、この湯もみ娘とか、地域の文化がフットボール文化に融合してると言うのは素直に良いなと思うし、かっこいい。試合が盛り上がってきたら湯もみを放棄して木板でバモバモするのかなとか、ACLに仮に出たら木板持って中国に行くのかなとか、そんなくだらないことばかり頭に浮かぶので、試合に集中出来たもんじゃない。

 

ザスパ草津からザスパクサツ群馬に名前は変わり、「群馬のチーム」になりたいんだろうなと言う意図はひしひしと伝わってくるが、サポーターの歌う応援には「草津」というフレーズが頻繁に使われる。湯もみ娘もいる。草津で活動していたのははるか昔、彼らの大多数は草津以外に住んでるんだろうけど、それでもサポーターの在り方がこのチームを草津のチームたらしめていると思う。俺たちのルーツは草津にあるんだという「分からせ」みたいなのを感じる。

 

ザスパも最近の流行りに乗ってリブランディングを行うらしい。クサツの名はクラブ名には残るが、エンブレムも没個性的なものに変わり、ますます群馬色が強くなる。クラブとして生き残るために、前橋で活動をする以上、仕方ないのかもしれない。けれど、草津にルーツとアイデンティティを持つのだと言う意識を、少なくともサポーターからは強烈に感じたし、草津アイデンティティを持つからこそ成り立つ湯もみのような応援もあるわけで、それを放棄してしまうのは、いささか勿体無い気もしてしまう、そんなイチ部外者の気持ち。