備忘録

書きたいことや思ったことの殴り書き。

ブダペスト→ベオグラード 後悔と決断

空港からはとりあえずバスで市内へ。市内からベオグラードやらザグレブ行きのバス、鉄道が出てることは把握していたので、まだ期限が残っていた乗り放題パスで市内へ。
バスの中で色々調べていると、どうやらベオグラード行きは最短で12時に出発、17時過ぎに到着というルートだった。これでは日中を無駄にしてしまうのではないかということで、去年スロベニアで取ったような、国境付近の街まで行ってそこから国境を超えてまた国内の交通機関を使う、という手法をとることに。
Szeged(セゲド)というハンガリー南部の都市が大きそうだったので、バスの終着地点からそこまでの行き方を検索するとなんと10分後にそこまで行く電車が!8時に出て10時に着くので、ベオグラードまでは早く着きそう。次の電車は1時間後ということで迷う十分な時間もなかった。値段は1400Ftでリーズナブル、なんとかなるだろうと思って思い切って購入、電車に飛び乗った。

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車内。個室がいくつかあってそこに自由に座る形の電車であった。

 

十分な睡眠がとれていなかったので電車では爆睡、あっという間に国境の町、セゲドへ。

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ハンガリーの国内鉄道はここが終着地のことが多いのだが、まあ驚くほど田舎。何もない。どうやら鉄道駅と中心部が離れているらしいが、それにしても、である。
とりあえず駅のインフォメーションセンターでベオグラード行きの電車はあるかと聞いたら、乗り換え2回で20時に着くと。どういうルート取るの?って聞いたら「わからない」って言われて、信用ならないのでとりあえずパス。
ちょっと調べるとセゲドからセルビア側の国境へのバスがあるということだったのでそれを探しにバスターミナルへ。セゲドの駅からバスターミナルへまでは2キロほどで、バスやら路面電車を使うのが賢い。この時点でフォリントは全く所持していなかったのだけれど、運転手に「クレカで払えるよ」って言われたので路面電車に乗って向かう。クレジットカードで払えなかったから無賃乗車は申し訳なくなって途中下車、15分ほど歩いたところに確かにバスターミナルが。
インフォメーションセンターを片っ端から当たると、12:30にSubotica(スボティツァ)というセルビアの街へ行けるバスがあるとのことで、それに乗車することに。時間はあったので、若干危うい携帯とモバイルバッテリーの充電をカフェでして時間を潰す。


セゲド、聞いたことはなかったけれどこの国の規模からすればまあまあ大きい都市なのかな。一応外国資本も入ってたし、それなりに賑わってはいた。けどやっぱりここまでくると自分のイメージしていた「東欧」が姿を現してきて、ちょっとテンションがあがった。

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実はこのバスに乗るか否かは非常に迷っていて。というのも、このバスの終着地点であるスボティツァという街の情報が日本語はおろか、英語ですらほぼ何一つ出てこず、ベオグラードに行けるのかどうかすら定かではなかった。
この日中にベオグラードにつかないと後の行程も危うい。お金はかかるがセゲドからブダペスト の空港に引き返せば夜のターキッシュエアラインズでエルサレムにも行けるし、機内食やら何やらも楽しめる。今考えれば後者が圧倒的に正解だ。しかしこの時点でもまだ冒険心は薄れていなかった。「それでもいいのか?自分」と問いただして、何も情報のない町、スボティツァに向かうことにした。

いざバスが来たので乗ってみると、如何にもな汚らしいボロボロのバス。まあ1000Ftなので文句はないけど。

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パスポートチェックのある陸路国境越えはなんやかんやはじめて。バスだったので、一度全員下ろされて、出国と入国を2回ずつ行う。一般車の方は混んでたけど大型車は空いていたので計30分弱で入国できた。セルビアは日本を除いて30カ国目。セルビア語が公用語で、キリル文字も多くなって来ていよいよ東欧に入ったなと実感。
ほどなくしてスボティツァに着く。そこはバスターミナル以外本当に何もなかった。この状態で鉄道駅を探すのもナンセンスだろうと思い、そこのバスターミナルでベオグラード行きのバスを探すことに。そうすると思った以上に頻繁にベオグラード行きが出ているので、10分後のベオグラード行きのバスを1080ディナールで購入。所要時間は2時間半。
とりあえずベオグラード行きが決定した安堵の気持ちを抱いた反面、イスラエルに行かないという選択をしたことに対する後悔もじわじわと湧き上がってくる。アテネまで陸路というのはどう考えても移動メインの旅になってしまうのである。ゆっくりする暇もない。
「何やってんだろうなー」と思いながら、広大な草原と、ここ半年で一番美しい夕日を眺めながらベオグラードに到着した。

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さてベオグラードではやることがいくつかあって、まず夜をどうするかを決めねばならなかった。南に向かう夜行バスや夜行鉄道はたくさんあるので、それを使ってさらに南に進んでおくのか、それとも一旦ホテルに泊まるのか。かなり迷ったものの、疲れがたまっていたこと、ここから先あまり大都市がないこと、プリシュティナは夜行で行くには近すぎることなどを考慮して、次の日12時発17時半着のプリシュティナ行きのバスを予約し、ホテルもBooking.comで予約。ホステルのが安いが、精神的に1人でゆっくりしたかった。
もうこの時すでに17時すぎ、結局ブダペスト からの直行バスに乗ったのと着いた時間は変わらなかった。とにかく腹が減っていたのでベオグラードでおすすめと言われたハンバーガーレストランへ向かう。23時までオープンのはずだったが、行くとすでに店じまいの準備をしており、聞くと「もう閉めるから」と言われてしまった。街の中心街はイルミネーションが点灯していたり、音楽隊が音楽を鳴らしたり、かなりの人通りなのにおかしい。ということでトリップアドバイザーで調べた2軒目へ。しかしながらそこでも1軒目同様のことを言われたので「今日は何か特別なの?」って聞くと、「クリスマスイブだよ」と。ここであのイルミネーション、クリスマスマーケットのような出店、所々のクリスマスツリーと全てに合点がいった。セルビア正教では1/7が降誕祭らしい。というわけでとりあえずホテル付近でお店を探すもいいところがなく、とりあえずホテルへ向かう。

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音楽を奏でる人々。


しかしホテルがいくら探しても見つからない。口コミをみると見つかりづらいようだが、それにしてもない、全くない。看板すらない。幸いキャンセルは無料だったのでキャンセル。またホテルを探すことに。大丈夫そうなホテルを再度予約して、そこに向かう途中のピザ屋で夕食。ここで出会ったセルビア人の同年代の3人と色々話したけど、セルビアはかなりサッカー人気が高く、レッドスターにいた鈴木隆行や、ネマのことも知っていたり。落ち込んでいた気持ちが少し和らいだ。
以前Couchsurfingで泊めたクロアチア人に、「東欧、特にザグレブは人種差別主義者が多いから気をつけた方がいいよ」と言われたけれどセルビアはそうではなかったと思う。これはユーゴスラビア時代に公共バスが日本から寄贈されたことだったり、同国のレジェンドであるストイコビッチが名古屋でプレー・監督を務めたことなどがあって友好的な態度を取る人が多いのかなと思う。人種差別主義者が多いと言ったってせいぜい国民の1%くらいだろうし、一夜で出会った数人では分母が小さすぎるというのもあるだろうけど。

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ホテルもすごい良いところで、アメニティもさることながら、「日本から来たのは君が初めてだよ」って言ってセルビアシャルドネワインをくれた。ホスピタリティに感動してまた少し気持ちが和らぐ。この時点でまだ19時だったのでまだ観光はできたが、それが出来るほどの気力もなく、軽く衣服の洗濯をして、シャワーを浴びて即ベッドに。
しかしながらまだ眠くもないのでちょうど連絡を取っていたアメリカにいる友達と電話したり、色々と明日のことを調べたりしていた。ここら辺で薄々気づいていたのだが、近くにクラブがあるため、重低音がかなり漏れて来ているのだ。気にしなければ良いだけなのだが、なんせ音がそれしかないため気付いたが最後めちゃくちゃ不快。少しだけ聞こえるってのが尚更。イヤホンをして音楽を聴いて気を紛らわそうとするも、音楽に集中したがために数週間前の楽しい思い出を思い出してしまい余計に寝れなくなり。
「冒険心」とか言って考えなしにベオグラードまで来てしまった自分をぶん殴りたい気分になったし、本当にこの日は何から何までついてなかった。情けないけれど、親だったり、彼女だったりと電話をして3時くらいまで気を紛らわしていた。

その傍ら、「ベオグラードからめちゃくちゃお金と時間をかけてアテネに行く旅が本当に楽しいのか?まだ今からでもエルサレムに飛べないか?」と思ってスカイスキャナーを開いて検索すると、11時ベオグラード発のテルアビブ行き直行便が12000円で売ってる。ベオグラードまで飛んでそこからテルアビブ、というルートなら絶対補償も効くし、きかないにしても10000円ならアテネに向かう費用とどっこいどっこい。イズレール航空という聞いたことない航空会社、当日にTripstaで予約、ということでリスクはあったものの、やってみないとわからないし、こっちの方が"冒険"としては正しい選択肢なはず。
そう思い普段よりかは慎重になりながらも航空券を買って、翌日に備え眠りについたのであった。

翌日、無事7時に起き、シャワーを浴びて荷物を詰めて空港へ。昨日よく見えなかった街を見ると、コンクリートで作られた建物や、無機質なビルが比較的多い。いわゆるヨーロッパ的な華々しさはこの街にはあまりないが、それがいいところなのだと思う。そしてあまり観光すべき場所がないところだからこそ、もっとゆっくり滞在して日常を感じてみたいなと思った。

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空港行きのバスが出ている広場まで歩いていると、アジア人っぽい顔立ちの人が遠くに見えて、すぐにブダペストのホステルで隣のベッドにいた人だと分かった。声をかけるとびっくりした様子で、「なんでここにいるの?」と。皆にはイスラエルにいると言っていたのでそれもそのはずである。他愛もない会話を数分交わしてお別れ。これから会うことがあるかどうかは分からないけど、なんとなく直感でまたどこかで会う気がする。
そんなことを思いつつ、二度目の正直を達成するために空港行きのシャトルバスに駆け込み空港に向かった。

 

つづく