備忘録

書きたいことや思ったことの殴り書き。

アフリカ旅行記-ルワンダ④

大虐殺の歴史を見てだいぶ心が疲れたので、次の日は少し遅めに起きていつものように宿で出される朝食を食べる。

 

午前中いっぱいは休んで、午後はルワンダに来ていた日本人の子と会う。20歳前後でお金をためてルワンダに来たのだそうだけどその行動力は素晴らしいなと思う。

バイバイしたあと、バスターミナルに向かって歩いてみることにする。とりあえずやることがなければ歩くのが最善策だ。昨日歩いた道と同じだけれど、途中にあった苗木屋さんや農家にちょっと立ち寄って色々聞いてみたい気分になった。

 

10分ほど歩くと教会のようなものが丘の下に見える。牧師がかなり熱のこもった声量と音圧で説教をしている。そして「ハーレルーヤ!」と言った後に歓声と指笛が鳴り響く。さすがに気になったのだけれど、とりあえずバスターミナルに向かって歩き続ける。

今日も相変わらずよく声をかけられるが、やはりルワンダの人たちは親切だ。親切に触れれば触れるほど、エネルギーが回復してくる。ちょっとこっちに来い!と手招きされて行ってみると「ゆで卵いるか?」と分けてくれたり、キニャルワンダ語を教えてくれたり、サトウキビをかじらせてくれたり。

 

途中通った農家はあいにく声をかけられなかったが、苗木屋さんには声をかけることが出来た。今まで行ったどの国にもこの路上で苗木を売っている人たちは見かけるので、結構ずっと興味は持っていた。

アフリカの農業を勉強している人間の端くれとしては、やっぱりこういった農業に関わっている人たちとコミュニケーションを取りたくなる。どういう土を使ってるのか、土はどういう風に使ってるのか、この白いのは何か、何の植物を売っているのか、などを聞いていく。とはいえこういったセクターで英語が流ちょうな人はほとんどいないので、聞けることは限られている。本当はこのビジネスがインフォーマルなのかとか、個人事業主なのかとか、もっといろんなことを聞きたかったけれど。

個人的にはアフリカに共通してこういった苗木屋さんがあるのであれば何か面白いことが出来そうだなって思うし、農家だけじゃなくてこういう農業に関連している人たちに働きかけることで変わることも色々あると思う。

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50分ほど歩いてバスターミナルに着く。ルバビューというコンゴ国境沿いの街に行こうかとも思ったけれど、まあカンパラに行くのでいっか、と思ってカンパラに行くことにした。ルワンダに行ってキガリ以外の都市に行かないのはもったいない気もするけれど、とはいえ3か月の旅で「こうしないと!」って思ったりしていると結構疲れてしまうから、本能に従うのが一番性に合ってる。カンパラ行きの夜9時のバスチケットを購入する。コロナ後値上がりしたようで、カンパラまでは20000ルワンダフラン(2800円ほど)。

バスのチケットを購入した後、また歩いて宿に戻る。だいぶ足腰に疲労が溜まっているのを感じる。歩数的には大したことはないのだけれど、坂が多い街なので距離以上に疲労が溜まる。同じ道を歩いて帰っていると、まだ教会ではすごい勢いで牧師が説教をしていた。気になるゲージがマックスに到達したので、意を決して教会に入ってみる。

平日木曜日の昼にも関わらず、かなり大勢の人(女性が7-8割だったように思う)が礼拝に参加していた。言語はキニャルワンダ語だったのだけれど、教会の女性が親切にも英語に訳してくれる。一応キリスト教家系に生まれているので礼拝自体は慣れているのだけれど、全く違う形式の礼拝なのでかなり新鮮だ。牧師が聖書を読んで、お祈りをして、信徒が告白のようなものをして、またお祈りして、歌って、などを流れるように行っていく。なかなかに面白い経験だった。

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教会の面する丘からの景色はとても綺麗だった

宿に帰ると、部屋にはいつものようにルームメイトがいた。自分が滞在していた4人部屋には韓国人のルームメイトがいて、サッカーがお互い好きだったりもしたので朝晩と結構喋ったりしていた。モンゴルから原則陸路でルワンダまで来て、西アフリカに飛んだあとヨーロッパをヒッチハイクして北極圏まで行くらしい。

そんな彼も今夜がルワンダ最終夜ということだったので、一緒にご飯を食べに行く。せっかくだからルワンダっぽいものを食べたいよね、ということで目星をつけて中心街に行く。中心街は本当に整っていて、治安の良さもひしひしと感じる。その証拠として一眼のカメラをもって撮影している人がたくさんいた。

 

ルワンダ料理のお店に行ってみると、どうやらランチ営業のみとのことだったので別のお店を探す。結局、ルワンダ料理ではなくインド料理屋にたどり着いた。細い路地の裏にあり、店内にはインド人しかいない、ある意味ローカルなお店だ。値段も3-5ドルほどでそんなに高くはない。いろんな話をして飯を食い、帰路につく。

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めちゃくちゃよく言う話だけれど、旅の醍醐味は人に会うことだと思っていて、それがその一瞬の出会いでしかなかったとしても、意外とそういった出会いというのは覚えているもんで。出会いがあってうれしくなって、別れて寂しくなって、新たな出会いを求めて次の場所に行って、の繰り返しは旅の原動力になっている気がする。

 

最終日。一通の連絡が入る。前々日に仲のいい友達と電話していた時に「日本に留学してたルワンダ人の学生がいるはずだから連絡してみたら」と言われたので、ノリで「日本から来たんだけど、もし暇だったら会わない?」と急に連絡をしていて、それに対しての返事だった。「14時から卒業祝いのパーティーを家族と友達とやるからよかったらおいでよ」と。せっかくの機会なので参加させてもらうことにする。

が、14時前になってもまだ用意が出来ていないとのことでしばらく待つ。自分より後に宿を出る予定だった韓国人のルームメイトのほうが早く出てしまった。結局16時くらいになって、「まだ準備はできてないけど来ていいよ」と。

 

バイクタクシーを宿の目の前で拾って6キロほど離れた彼の家に向かう。家に着くとその彼が家の門の前で待ってくれていた。まだ友達は来ていないらしい。家族にあいさつした後、外のベンチに座って彼と喋る。日本に来た経緯とか、日本でどこに行ったかとか、話は尽きない。ふと音楽の話になって、「日本のおすすめの音楽とかってある?」という話になった。ヒップホップが好きとのことだったのでEVISBEATSでもかけるか、と思いYoutubeで検索をすると、「いい時間」のサムネイルがアフリカの景色だったので、ちょうどいいなと思い再生する。

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「いい時間」のPVがアフリカの他愛もない情景をつないでできたもので、聞きながらついついここまでの旅の景色を思い浮かべてしまう。自分は旅行をしているうちにアンセムというか、テーマソングのようなものを作りがちだけれど、それがこの曲になった瞬間だった。

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音楽を気に入ってくれたところで、彼が「卒業写真を撮りたい」といい、アカデミックガウンに着替える。たまたま持ち合わせていたカメラで、彼と彼の家族の記念写真を撮る。彼、母、祖母の3人の写真は撮ってるこっちまで幸せになる。写真をそうやって撮ったり、家族と一緒に卒業を祝うご飯を食べたり、といった時間は間違いなく「いい時間」だったと思う。

キガリだけ観光してルワンダを去るの?」「もう少しうちに泊まっていけばいいのに」などと言われると非常に心惜しくなるけれど、もうバスのチケットは取ってしまったし、家族と彼に別れを告げてバスターミナルに向かう。最後の最後にものすごいいい出会いに巡り合えた気がする。

何にしても、ルワンダはものすごくいい国だった。特に人の温かさは本当に素晴らしかったと思うし、おかげで楽しく過ごせた4日間だったと思う。またいつかこの国には戻ってきたいな、と切に思う。