備忘録

書きたいことや思ったことの殴り書き。

アフリカ旅行記-ケニアリターンズ②

ケニアに戻ってきて3日目、朝からSGRという電車に乗ってモンバサへと向かう。

今日の最終目的地はタンザニア国境近くのShimoniという村。ここには何か特別なものがあるわけでは決してないのだけれど、大学院在学中に関わっていたプロジェクトがあって、そのプロジェクトが行われていたのがこのShimoniという村だった。プロジェクト自体は楽しかったのだけれど、やってればやってるほど「こんなの現場を見ずに何かしらの提案するなんて無理げーじゃんか」っていう思いが強くなって、いつか実際に現場を観に行ってみたいなと思っていたのでこの機会に行くことにした。

この機会に行くことにした、と書いたけれど実際ケニアに来た理由の9割はこれだし、これがなければ単純にケニアウガンダルワンダタンザニアと移動してもよかった気はする。

SGRというのはナイロビからモンバサを結ぶ高速鉄道で(といっても6時間かかるけど)、ナイロビを朝8時に出発してモンバサに14時に着く。

電車のくせにセキュリティがめちゃくちゃ厳しいと聞いていたのと、前日に空席情報を見た時に空席が僅少になっていたので、朝5時に起きて6時前にタクシーを捕まえて向かう。

6時半ごろ、駅に着く。何もないところにものすごく大きくて綺麗なターミナルが突如出現する。偏見かもしれないけれど、いかにも中国による出資、といった印象を受ける。



麻薬犬による荷物のチェック、X線検査、そして身体検査を経てまずはチケットオフィスへ。チケットオフィスの残席数を見るとなんと残り12席。自分の後ろにもちょくちょく人が待っていたので、この時間に来たのは正解だったかもしれない。

チケットを買い、再度チェックを挟んで列車へ。本当は新幹線のような座席のファーストクラスを予約したかったものの、席がなかったのでエコノミーに。エコノミーは向かい合わせのボックスシート、それも日本よりも幾分か前の人との間隔が狭い。

電車は8時ぴったりに出発した。バスと違い時間に正確だし、揺れも少ないので快適だ。ただ足の幅はとにかく狭い。出発から程なくして景色はいわゆるサバンナになる。

が、サバンナもずっと見てるとさすがに飽きるのでひと眠りすることにする。

眠りから覚め、ふと窓の外を見るとゾウの群れがいた。こういうのを見ると「ああケニアに来たな」と実感する。

しかしよく見ると線路の両脇には柵があって、日本のように踏切の数は多くない。動物然り住民然り、地理的な分断を産んでしまうのではないかな、とかいらぬ心配をする。

電車なので揺れは少ないけれど、やはり6時間は長い。それなりの疲労を抱えてモンバサに到着した。

モンバサの駅もこれまた周りに何もない。言ってしまえば全ての駅が三河安城岐阜羽島のような立ち位置と言っても過言ではなく、何もない場所に立派な駅がポツンとある。

駅を出ると大量のミニバスが待っているので、目的地に向かうバスを探す。

プロジェクトの職員と待ち合わせ予定の街、Diani行きのバスを見つけて乗車する。自分が最後の乗客だったので、運良く乗ってすぐに出発する。

モンバサの中心地は島のようになっているので、車ごとフェリーに乗って対岸に渡り、そこからさらに1時間ほどしてDianiに着く。Dianiで落ち合ってからさらに1時間半ほどでShimoniの村に着いた。

村に着いた時にはすっかり日も暮れていたのであまり何も見えなかったけれど、小さい村なのは分かるし、波の音からも海がものすごく近いのも分かる。

今回は、関わってたプロジェクトを運営する機関が借り上げてるボランティアや職員用のゲストハウスに泊めさせてもらった。朝食と夕食を用意してくれて、しかも洗濯までしてくれるのに、今回は数泊だからということでご厚意でタダにしてもらった。ちなみにここで食べたご飯はこの旅で一番美味しかった

プロジェクトに関わることだからあまり詳細は書けないのだけれど、3泊させてもらい、プロジェクトに関わる町や機関の実情なども見れてよかったなと思う。自分があれこれ書いたことの答え合わせをしているような気分になった。

 

Shimoniは小さいが故にかなり平和で、子供たちも元気よく「ジャンボ!」と声をかけてくるし、大人ものんびりしている人が多い。また夕暮れ時は満潮、午前中は干潮で、異なる姿の海を眺めることができる。

普段は海なんてめったに行かないのに、なぜだかずっと海でのんびりしたい気分だった。思うにカンパラ、ナイロビと中々に忙しない都市に2週間ほどいて、身体が落ち着いた場所を求めていたんだろうな、と思う。
アフリカではポレポレという言葉で形容するような、非常にゆっくりとした時間の流れを感じるときもあるし、混沌とした街のなかでは何かしらの衝動に駆られるような感じ方をするときもある。前者の場合、もう考えることを放棄してひたすらに広いアフリカという土地を眺めてぼんやりとしていたい気分になるし、後者の場合はその逆で、活き活きとした街や人に感化されて「もっと人間味があっていいんだな」「感情を殺さなくていいんだな」といったような感じになる。
アフリカという土地でコミュニケーションを取っているといやというほど人間味を感じる。自分の欲求に対して素直すぎるくらい直球のコミュニケーションが多い。それはそれで大好きなのだが、そういう場所に身を置き続けると、すこし気を休めたい気分になる。ゆっくり過ぎる時間というのは一長一短だけれど、気を休めたいときにこれほど最適な環境もない。ただだらだらしているだけで良くて、それを肯定してくれるような環境がアフリカには存在するなと思う。


Shimoniの次の目的地は、タンザニアキリマンジャロ山のふもとの街、モシ。キリマンジャロを登らないのであればモシは通過してそのままサファリの拠点であるアルーシャに行けばよいのだけれど、大学の知り合いがここでインターンをしているということで会いに行く。
Shimoniからモシまで、地図を見ると直線でそれなりに近いのだけれど、ダイレクトに行ける道がないので、タンザニアのTangaという街に入ってそこから北上してモシを目指すか、一度ケニア内を北上して、そこから西に向かうかの二択。現地の人に聞いたら、モンバサまではいかずにDianiまで行って、そこからVoiという都市までバスが出ているから、Diani→Voi→Tavetaと行けば国境沿いまでいけるよ、と教えてもらった。

ということでDianiまで行くことにする。知り合いづてで知り合ったアメリカ人二人と一緒にバイク、ミニバスを乗り継ぎ1時間半ほどでDianiに着いた。
Dianiではプール付きのゲストハウスに泊ったのだけれど、ビーチまで徒歩二分、そしてそのビーチが今まで見たビーチの中でも一番くらいに綺麗で、これだけでDianiに来た価値はあるなという感じ。

せっかく海沿いに来たのでシーフードを食べに行く。評判の良いところに行ってみると、魚は売り切れ、チキンしかないという。残念だったけどほかの店を探すのも面倒くさかったので、仕方なくそれを頼んだら、それはそれはめちゃくちゃおいしかった。評判のいいお店なだけある。

さて、ご飯を食べた後に明日の移動経路を確認する。DianiからVoiに行くバスはたくさんある、と聞いていたものの、いざ聞きまわってみるとそんなバスの気配は全くなく、聞く人聞く人みんな「モンバサに行くしかないよ」と言ってくる。ただ、大体のバスは早朝なので、明日モンバサに行ったところでVoiやモシに行ける確証はない。そもそも元々はというとモンバサに一泊してそこからモシを目指そうと思っていたのだけれど、それを現地の人に話したら「モンバサまで行くなんてありえない!絶対そんな遠回りすべきじゃないよ!」みたいな感じだったのでDianiに泊ったのだけれど、結局モンバサに泊るのが圧倒的に正解だったという。アドバイスしてくれた人に「モンバサまで行くしかないらしいよ」と伝えたら「あ、マジか」くらいの反応で終わったし、彼らも善意で教えてくれているのでやり場のない苛立ちが募ってしまう。意外と自分の勘のほうが正しかったりもするな、と改めて思う。モンバサに泊ったほうが楽だったとはいえ、ビーチも見れたし、まあモシまで行く算段もなんとかついたので良いということにしておく。