備忘録

書きたいことや思ったことの殴り書き。

原点 - FC東京U-18 vs 堀越高校サッカー部

知り合いの東京ファンの方に、「母校でFC東京U-18の試合があるよ」と教えていただいたので行ってきた。

 

母校にはいまだにちょくちょく顔を出しているのだけれど、ここでサッカーを見るとなると話は別で、もう9年ぶりくらい。そしてこの場所は自分にとっては原点的な場所でもある。ということで昔話。

 

高一の時にFC東京の下部組織を観に行くようになって、ちょうど同世代の選手たちがFC東京という看板を背負って戦っている姿はめちゃくちゃかっこよかった。そして、自分の出した声がピッチ上に届く感覚を覚えていくうちに、「自分の高校のサッカー部も応援したい」と思うようになってきた。2種サッカーを見るようになったことで、自分の応援してきたFC東京と自分の高校が地続きであるという実感を得たこと、普段一緒に授業を受けたり登下校をしてる友達がそう言った場で戦ってるのって、めちゃくちゃ燃えるよな、と思った。

 

高一の終わり頃から、サッカー好きの同級生と一緒にサッカー部の練習試合を見に行くようになった。その当時の母校は地区2部。最高峰のプレミアから数えると、プレミア-プリンス1~2部-東京都1~4部-地区1-2部という構成なので8部。声を出して応援してる人なんていないし、横断幕もない。応援が全くない場で応援をすることが迷惑になったりはしないか、なんて思いが生まれるのは初めてだった。ゼロの状態をイチにするのは勇気がいる。

 

しばらくは見に行くけど声を出したりはしない、という観戦者スタイルでいたけれど、そうこうしているうちに高校サッカーの二大大会であるインターハイの予選が始まった。高校2年生の春。試合前の日曜日に同級生と学校に集まって横断幕を作ったりして、予選を見に行く。その会場はまとまった声出し・鳴り物禁止だったので、作った横断幕を貼って見守る。まあこの予選が死闘だったのだけれど、前評判を覆して地区予選を勝ち進み、東京都予選に駒を進めた。

 

東京都予選で当たるのは東京都の強豪・保善高校。それまでは高校のグラウンドでしか試合をしてなかったのに、東京と予選ということで駒沢補助競技場という立派なグラウンド。声出し応援はOKとの事で、声を出した応援を始めるならここだろうと思い、公園の管理者と「今度あるインハイ予選でバケツ使って応援していいですか?」「バケツ?はあ、多分大丈夫だと思いますけど」と向こうからしたら意味分からないやりとりをしたのを覚えてる。学校のある日だったけど、終わってダッシュで向かえば前半には着く、との事でそれまで一緒に応援してた同級生と向かう。

スタジアムに着くや否や横断幕を張る。そして10人ほどで歌う応援歌とそれに合わせて鳴り響くバケツの気の抜けた音。地区2部リーグ所属の高校の異色の応援にどよめくスタンド。この試合は先制するも負けてしまったが、自分の中でターニングポイントになった気がする。

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その辺りからプレーヤーに「応援めっちゃありがたい」という声をかけてもらうようになって、「迷惑になってないかな」というような応援をすることに対する迷いがなくなった。会場のルール破って迷惑かけるのは嫌だったので毎回律儀に「◯◯高校ってバケツ使って応援していいですか?」って聞いてたの、今考えると律儀だけど狂ってる。そんなこんなで雨の日だろうが一人だろうが横断幕を持って応援をしに行ってたし、他の部活の応援にも駆けつけるようになった。ゼロからイチにした中で得た(チャントの大半は他クラブからの引用だったのはご容赦を)、誰もやらないなら自分がやろう、応援は必ず届く、というのは自分の原点でもある。

試合に出ない部員が応援するというのがメジャーな高校サッカー界で、サッカー部じゃない人間が応援を考え、幕を作り、バケツで応援してる、みたいな狂ったことを一年も続けていると、翌年のインハイ予選の頃には流石に話題になり、対戦相手の選手が「今度の相手、なんか応援がイカれてるらしい」ってこぼしてた話なんかも耳にした。

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夏頃に自分の同級生が引退するまで続けた狂った活動は間違いなく高校生活の一部だった。そんな場所で、約10年ぶりに応援をする機会が訪れた。

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土埃が舞っていたグラウンドは立派なトラックと人工芝のグラウンドに改修されていたけれど、それでもやっぱりここはホーム。高校の時の事情を知っているユースを応援してる方々から「バケツ叩く?」とありがたいお言葉をいただいたので、お言葉に甘えて、初心に帰る意味も込めてバケツを叩いた。普段からユースに顔を出せてるわけじゃあない中で図々しかったけど、ありがとうございます。山の中だから声が響くんだよなーとか、色々懐かしかった。教師に見つかったら呆れられるんじゃないかって思ってビクビクしてたけど、幸い日曜日で知ってる教師はいなくてホッとした。

 

応援なんてものは自己満かもしれないけれど、それでもこういう経験があるからこそ応援を続けてるんだろうな、という応援思想の話とおじさんの昔話でした(試合後たまたま流れてきた若い子のツイートにバケツのおじさんと書かれていた)